多くの人が気になるお金のこと。そのなかから今回は、『資産運用を行う上で押さえておくべき3原則』について解説していきたいと思います。
資産運用と聞くと、「投資」や「投機」という言葉をイメージする人も多いでしょう。
この言葉の意味についてですが、投資と投機はまったくの別物です。投機は「目の前の結果のみを追い求めるもの」ですが、投資は「長期的なスパンで結果を求めていくもの」であり、両者はゴールが異なります。
投資は長期的な目線での資産運用なので、やり方さえ正しく理解していれば「いつ始めてもいい」のです。しかし正直なところ、投資した資産の価値が上がるか?下がるか?という点はプロでも正確な答えはわかりません。
それでも、投資で資産を形成していく「投資家」や、投資に関するアドバイスを行う「証券マン」のように、投資を仕事にしている人は数多くいます。彼らの仕事はなぜ成立しているのでしょうか?
それは、資産運用に関する考え方のベースが一般の人とは大きく異なっているからで、基本的には下記の「3つの原則」をルールとして持っています。
【投資において重要な3原則】
①長期投資
②積立投資
③分散投資
ここからは、それぞれの意味を簡単に解説していきます。
①長期投資
投資にかける期間は「なんのために投資をしていくのか」によって変わってきますが、一般に個人で長期投資を考える場合、『15年以上、できれば20年以上』のスパンで考えていくことが大切です。
ずいぶん長いな!?と感じた方もいるかもしれません。そうです、長期投資はこれぐらいのサイクルで考えていかなければいけないのです。
短期的な利益を求めるのではなく、15年後、20年後にどのような生活を送りたいのか。そのためにどのようにして資産運用を行っていきたいのか。これらを見越して動いていく必要が投資には求められます。
この間、自分自身や家族のライフサイクルも随分と変化するでしょう。その変化も受け入れた上で、長期的な視点で投資を考えていくことをプロは徹底しているのです。
②積立投資
積立投資は、毎月や毎日といったスパンでコツコツと資産を蓄積させていく投資方法です。積立投資を行うメリットは「ギャンブル性の排除」にあります。
長い期間を使い少しずつ投資を進めていくことにより、運用が好調なときのリターンも、不調な時のリスクも平均化して享受することが可能となります。
この方法は専門用語で「ドルコスト平均法」と言います。この考えは、投資で損しにくくするための重要な方法の一つです。大幅な損失を回避するためには、少しずつ同じ額での投資を進めていくことが効果的です。
③分散投資
分散投資とは、文字どおり「投資対象を分散させる」投資方法のことです。特性や特徴を異なる資産を複数運用させることで、リスクを大きく抑えることが可能となります。
特性や特徴が違うってどういうこと??と疑問を感じた方向けに、簡単な例を上げてみましょう。
例えば4つの資産を運用するとしたら、
・日本の株式
・日本の債券
・外国の株式
・外国の債券
の4点に分けるということです。
これは、2つの観点から選定されています。1つ目の観点は「株と債券に分けることで、好景気に強い/不景気に強いを分散させる」という点。2つ目の観点は「国内外の資産に分けることで、日本の景気と連動させる/連動させない」という点です。
この例では、日本が不況になっても、世界が不況になっても、投資者が資産をすべて失う可能性はとても低くなるでしょう。このように、リスクヘッジの観点から資産はなるべく分け、それぞれに役割を持たせることが望ましいです。これが分散投資の基本ですので、しっかり覚えておいてくださいね。
「卵は一つのカゴに盛るな」というイギリスの格言があります。卵は財産、カゴは運用方法です。一つのカゴに自分が持っている卵を全部入れてしまうと、転んでカゴを落とした時に持っている卵はすべて割れてしまいます。つまり、資産を根こそぎ失ってしまうということです。カゴを複数持っておけば、一つのカゴを落としてしまっても安心ですよね?その基本的な事柄をこの格言は伝えています。
ここで重要な点は、「カゴは意識的に増やさない限り、決して増えることはない」ということです。もし意識的に増やさなければ、おそらく多くの人は「メインバンクの普通預金のみ」に留まってしまうでしょう。能動的に動き、情報を集めるなど一歩踏み込むアクションが大切です。
では最後に、どのようにカゴを増やしていくのかという点に触れていきましょう。
カゴを増やす方法~投資信託とは~
特に分散投資において初心者が一番始めやすいのは、「投資信託」です。「投資信託ってよく聞くけど実際なんなの?」という疑問に簡単にお答えしていきましょう。
まず、一般的に「資産運用」と聞いてイメージしやすいのは「株式投資」だと思います。この「株」とは大雑把にいうと、「(1万株発行した場合は)株式会社の価値を1万分の1にしたもの」です。株式会社の業績が上がれば株の価値も上がり、株の保有者は利益(含み益)を得ます。逆に、会社の業績が下がれば株の価値も下がり、保有者は損(含み損)をすることになります。
このように資産運用としては非常にわかりやすい株式投資ですが「1社のみ」の株を買って、その会社に自分の運命すべてを委ねるのはとてもリスクが高いため、複数の会社の株を買って分散投資することをおすすめします。
投資対象を分散することで、1つの会社の株の価値が下がっても、他の会社の価値が上がることで損をするリスクを下げることができ、この方法を皆さんの代わりに担ってくれる投資商品が、投資信託です。投資信託は、たくさんのお客さんから少しずつお金を集めることで、個人で行うには難しい複数の会社への分散投資を代わりに行ってくれるという仕組みです。
基本的には銘柄の選定や売買などをプロに任せることができるので、投資信託は初心者にとって一番始めやすい運用方法となっています。
まとめ~資産運用の方法は人それぞれ異なります~
ここまで投資の3原則や投資信託について解説してきましたが、世の中にはここでは説明仕切れないほど、たくさんの金融商品や運用方法があります。
様々な商品、方法を組み合わせることが大事だとお伝えしてきましたが、誰に対しても「これをしておけば大丈夫」という方法はありません。
「自分が何を求めているのか」という点をしっかりと見極め、自分に合った方法を選択していきましょう。